将棋の藤井聡太二冠(19)=王位、棋聖=が12日、東京都渋谷区の将棋会館で行われた第34期竜王戦挑戦者決定三番勝負の第1局で永瀬拓矢王座(28)に後手の184手で勝ち、豊島将之竜王(31)=叡王=への挑戦権に王手をかけた。
研究パートナーでもある2人。先手の永瀬が意表の三間飛車に構えて始まった一局は相穴熊戦に。互角のまま両者一分将棋に突入する激戦になったが、最終盤の難解な局面でも最善手を指し続けた藤井が勝利をさらった。
藤井は「普段から教えていただいているので、こういった舞台で指せるので、こちらも全力を尽くせればと」と振り返りながら、挑戦権の懸かる30日の第2局に向け「そのことは意識せずに全力を尽くして良い内容にできればと思います」と述べた。「全力を尽くす」という言葉を繰り返した。
最後の最後まで執念の粘りを続けた永瀬は「チャンスができるかどうかが重要だと思っていましたが、チャンスがなかったような気もします。もうちょっと内容を良くしないとチャンスが生まれないと思います」と冷静に語った。後のない次局に向け「しばらく時間がありますので準備をして臨みたいです」と巻き返しを誓った。
藤井は残り2局で1勝すれば挑戦権を獲得する。永瀬は2連勝するしかなくなった。
藤井は現在、王位戦七番勝負と叡王戦五番勝負で豊島と戦っており(いずれも2勝1敗と先行)、さらに竜王挑戦を果たすと両者による異例の「十九番勝負」になる。
藤井は王位防衛、叡王奪取、竜王奪取の可能性があり、達成すれば年内に「19歳四冠」が誕生する。
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