第1話にして衝撃の展開を迎えた『SUPER RICH』(フジテレビ系)は、まるでジェットコースターのような氷河衛(江口のりこ)の人生に圧倒される1時間となった。
生まれながらに裕福な家庭に育った衛は、幼くして事故で両親を亡くしてしまう。その後、大学の同期であった一ノ瀬亮(戸次重幸)と共に、電子書籍の会社「スリースターブックス」を立ち上げた。経営は順風満帆。美しいオフィスで、気の合う仲間に囲まれ仕事に打ち込んでいた。しかしその矢先、事件は起こる。共同経営者である一ノ瀬が見つけてきた投資先が反社との関わりを持っていたことが発覚。さらに一ノ瀬は会社の有り金を横領して逃亡してしまったのだ。衛は自らの資産で会社を救おうとするも、本人は無一文に。そこで偶然出くわしたのが、インターン候補生として何度も衛の目の前に現れていた優(赤楚衛二)だった。
第1話の前半では、生まれながらにして裕福な衛と、生まれながらに金に恵まれない優の対比が描かれる。その金に対する価値観の違い、金銭感覚の違いを通して、2人はまるで正反対であるかのように思われた。しかし一転して、後半で衛は一気に絶望を味わうことになる。家族もなく、パートナーもいない、そして財産すら失ってしまうことに。初めて金で困る思いをし、図らずも優と同じ境遇に立たされた衛。正反対だったふたりは、ラーメンを食し、奇しくも同じスタート地点から歩き出す第1話となった。
ここで特筆したいのが、優を演じた赤楚衛二の潤んだ瞳の威力だ。「スリースターブックス」で働くことを懇願する優の瞳には、切実な想いが詰まっている。言葉にせずとも多くの視聴者に伝わり、手を差し伸べたくなってしまうほどに雄弁な瞳は、思わず聡美(松嶋菜々子)の「私は経営者の決断には血が通っているべきだと思ってるの。でも情に流されて決断しないでね」という衛へのアドバイスが、優を助けることに繋がっていくのだろうとミスリードしてしまいそうになるほど。この言葉の意味は後半で大きく回収されるが、優の瞳が脳裏に焼き付いて離れないほどのパワーを持っていたことは確かである。
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