『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』が2021年3月8日に公開された。 先に断っておくと、私は肯定派ではない。 【写真】“本気すぎる”「エヴァ」コラボグッズ発見…! 評価順で言えば、「夏エヴァ>TV版>シンエヴァ」である。 『シン・』が良いと感じた人の気持ちを否定するつもりはまったくないが、モヤモヤしている人もいると思う。そういう人たちに向けて以下、書いてみたい。 ---------- *本記事は作品のネタバレを含むため、未鑑賞の方はご注意ください。 ----------
14歳でTV版にドハマリし…
私は14歳でTV版の『新世紀エヴァンゲリオン』を観てドハマリし、『エヴァ』の謎本を通じて評論(家)というものの存在を認識したし、初めて買った二次創作同人誌も『エヴァ』だったし、高1のときには化学部の友達が作ったスライムを白く着色してシンジがアスカの前でオナニーして「最低だ、俺って」とつぶやくあれを再現する遊びをしたり(頭が悪すぎる……)、『夏エヴァ』(97年公開の『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』)で描かれた「現実に帰れ」という庵野秀明監督のメッセージを真に受けて悩みに悩んだあげく半年後くらいに買い溜めた『エヴァ』のビデオやフィルムブックをすべて売り払ったりしたという、いずれにしても当時何百万人かいた『エヴァ』ファンのひとりだった。 TV版の最終2話はそれまでの伏線をぶん投げてシンジの内面世界を描いていくことで賛否両論を呼んだが、筆者は「よくわからないが今まで観たことがないすごいものを観てしまった」という気持ちの方が強く、たとえその後劇場版が作られなかったとしてもよかったと思っているくらい衝撃を受けた。 夏エヴァは夏エヴァで、よくわからない部分もあったものの、やはり「今まで見たことがないとんでもないものを体験してしまった」と思いながら友達といっしょに1日で3回観た。自己完結した気持ちの良い世界ではなく、摩擦のある世界を選ぶのか? と問われてイエスと答えたシンジをアスカが「気持ち悪い」と拒絶する終わりは、肯定か否定かも判断できないくらい、ただただショックだった。 その夏エヴァで『エヴァ』は完結したものだと思っていたから2003年にPS2用ゲームで『新世紀エヴァンゲリオン2』が出たときは「ふざけんな」と憤ったし(97年7月発売のゲーム『鋼鉄のガールフレンド』も「許しがたい」と思った)、2007年に新劇場版が始まったときも「なんで今さらリメイクするんだろう」と醒めた気持ちでいた。 ただ2009年に『破』が公開されて、新劇場版制作時に制作陣が語っていた「若い世代に向けて作る」が本気の言葉だと思わせるような、単なるリメイクではない内容を見せつけられたときには一転して興奮したし、東日本大震災の混乱が色濃く刻印された2012年公開の『Q』を落ち着いて受けとめるには数年かかった。そんなわけで、なんだかんだ振り回されながらも追いかけずにはいられないのが『エヴァ』だった。 新型コロナウイルス流行に伴う1都3県に対する緊急事態宣言が延長されても公開延期の発表がされず、つまり公開日が確定してからその日を迎えるまでのあいだ、私はずっとそわそわしていた。
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