『監察医朝顔』どう徳を積んで生きたら“桑原くん”と結婚できるのか……? - マイナビニュース

近年のドラマでは珍しく、2クール連続で放送中のドラマ『監察医朝顔』(フジテレビ系)。主役の万木朝顔(上野樹里)を中心に、東日本大震災で亡くした母への愛、父の病気、子育て、そして法医学者としての仕事などが描かれている。毎週、何かしら小さな感動があり、泣かされている人も多いはずだ。

『監察医朝顔』に出演中の上野樹里

ドラマ内にあるいくつもコンテンツの中に、朝顔の夫・桑原真也(風間俊介)の"良旦那ぶり"が女性間で話題になっている。私も先日放送中に友人と

「どう徳を積めば桑原くんみたいな旦那を捕まえることができるのか?」

「その疑問について、首がもげるほど同意する」

会話を交わした。彼の何が女性の心を掴んでいるのかを検証したい。男性には読後５秒後に実行できるいい男のヒントが書かれていることを約束します。

"徹底嫁ファースト"さえあればそれでいい

夫婦の出会いは仕事だった。法医学者の朝顔の元に運ばれてくる、事件関連の遺体。そこに立ち会う(敢えてこう敬称するが)警察官の桑原くん。彼の猛アタックによって、朝顔の心は溶かされて二人は結ばれた。大好きな人と一生過ごすことができる権利を獲得したわけだから、そりゃあ桑原くんの愛は日々膨らむ。

そんな彼がなぜ"良旦那"に見えるのか? を私なりにまずは3点に絞る。

まず1点目は『家事をする』。なんだそんなことかと、失笑する声が聞こえてきそうだけれど、これが桑原くんの場合は普通の家事分担に愛が加わっている。妻が疲れて夕食を取らないと言えば

「炊飯器を洗いたいから、食べてくれると助かりまーす」

と、あくまでも残った白米のせいにしながらおにぎりを握って、食卓に出す様子には参った。ヒト科に生まれたら家事をするのは当然なのに、まだまだ「手伝っている」という男性の意識が蔓延する中、彼の姿勢は感動モノ。ドラマ内でも娘のお迎え、食事の支度など桑原くんは普通にこなしているのだ。第15話で自分の両親が来るために、もてなそうとする朝顔に向かって

「ええ、いいよ～。俺が適当に準備しておくよ～。しゃぶしゃぶとか」

そう言っていた。このセリフを2点目に推したい『徹底嫁ファースト』につながる。桑原くんはどこまでも朝顔を優先する。よく結婚すると嫁姑問題というものが勃発するらしいが、彼の場合、迷うことすらもなかったらしい。

仕事上のトラブルにより、一時期は東京を離れることになってしまった桑原くん。同居していた父も同時にいなくなってしまったため、朝顔は一人で家事、育児、仕事を抱えて破裂しそうになっていた。そんな妻の様子を察した夫は

「4時間で行くから」

と、深夜に車をすっ飛ばして朝顔を抱きしめに来る。妻に寂しい、辛い思いさせるならと警察を辞めたいとまで実姉に漏らしていたことさえもあった。他にも、朝顔が作ったごく一般的なバター鍋焼きうどんにも

「うまそお!」

と感嘆の声をあげていた。こんな彼の一連の行動から愛情の尊さを学ぶ。自分と照らし合わせてみても、パートナーに対してどこかで邪推をしてしまうこと、自分を優先してしまうことが愛をこじらせてしまう原因なのだと。桑原くん、すごいぞ。

なかなか第二子の子作りに持ち込めず、夜の営みをお預けにされても我慢。その代わり、寝ている妻のおでこにキスをする。たとえ勤務中であろうと妻からの電話は、同じ目線になって話を聞く。彼の中のヒエラルキートップに君臨しているのは、朝顔以外に考えられない。

風間くんと桑原くん。抜群の親和性に癒される

3点目に挙げたいのは『義父と積極的にコミュニケーションを取る』。桑原夫妻がまだ交際している時から思っていたけれど、桑原くんは自分から朝顔の大事にしている父・万木平(時任三郎)に歩み寄っている。これまでもたくさんの夫婦を見てきたけれど、嫁姑以上に厄介な問題は婿舅問題だ。「男同士だから」という、どうでもいい理由をいいことに、酒を交わすまでお互いを許そうとしない。揉めることを避けて、必要以上に近寄っていないようだ。

それが桑原くんは結婚当初から義父との同居を提案。平が一時期、東北へ転居した直後、アルツハイマーの兆候が見られると一人で様子を見に行こうとする。痴呆がだんだん進んできた平が、元の同僚たちと飲みに行ったときは、迎えに行く。ちなみに彼の妻愛は義父だけではなく、義祖父にも配られていて、朝顔の高齢の祖父が危篤状態から抜けると、電話で「良かったあ!」と声をあげていたことを見逃さなかった。“妻のおじいちゃん”って、ほぼ他人に近いところがあって葬式で会う関係性もあるだろうに……。

ここに並べたことが、今、世の女性をトイプードルの動画以上に癒やしている桑原くんの言動である。男性たちに気づいて欲しいのが、ここに一切お金はかかっていないということ。あるのは迷いがない気持ちだけなのだ。一般的に男性は自分の仕事内容、そして年収にステイタスを照らし合わせているけれど、あれは違う。多くの金を持つことは家族円満のオプションであって、大事なのは桑原くんマインドである。これがあれば、大概の家庭内トラブルは解決する。

放送も残すところあと3回。桑原くんの"良旦那ぶり"を引き続き、見守りたい。そして放送終了後も、忘れない。

小林久乃

こばやしひさの

エッセイスト、ライター、編集者、クリエイティブディレクター。エンタメやカルチャー分野に強く、ウェブや雑誌媒体にて連載記事を多数持つ。企画、編集、執筆を手がけた単行本は100冊を超え、中には15万部を超えるベストセラーも。静岡県浜松市出身、正々堂々の独身。女性の意識改革をライトに提案したエッセイ『結婚してもしなくてもうるわしきかな人生』（KKベストセラーズ刊）が好評発売中。

この著者の記事一覧はこちら

Let's block ads! (Why?)