僕はさっそく、P2Pで楽曲のデータを集め、オークションで「J-POP1万曲入りiPod」「洋楽1万曲入りiPod」「アニソン1万曲入りiPod」などを売り始めた。
読みは当たり、楽曲入りiPodは飛ぶように売れた。
(宮下崇『連続起業家のTHEORY』より)
幻冬舎ルネッサンス新社から4月に出版された、宮下崇『連続起業家のTHEORY』の内容が物議を醸しています。著者が代表を務めるヘクトルに問い合わせたところ、「現在、専門家を交えて内容、並びに宮下本人に事実確認中のため、回答は差し控えさせていただきます」(ヘクトル 広報担当者)とのことでした。
問題となっているのは、第1章「『アイデアでお金を稼ぐ』ことの面白さを知る」に書かれている内容。著者の宮下氏が高校時代に行っていた“あるビジネス”について説明したもので、当時父からPCを買ってもらったという宮下氏は、次のようなことを行っていたと書かれています。
- P2Pソフトで人気アーティストの新譜をダウンロードし、CD-Rに焼き、ラベル印刷をし、歌詞カードも作り、ネットオークションで販売した
- P2Pソフトで集めた曲をiPodに入れ、J-POPや洋楽、アニソンなどが最初から入った「1万曲入りiPod」をネットオークションで販売した
あくまで「高校時代の話」ではありますが、本人も「もちろん違法行為であり、今なら絶対にやらない」「当然のことながら、著作権法に抵触するため、オークションサイトに出品できなくなった」と断り書きをしている通り、これは明らかな著作権法違反にあたります。書籍の内容が話題になると、ネット上では「これはひどい」「ただの犯罪自慢じゃん」など著者を批判する声が多くあがる形に。また自費出版本とはいえ、出版元の幻冬舎ルネッサンス新社はなぜこのまま出したのか、といった指摘もみられました。
販売目的でのコピーは複製権・譲渡権の侵害に
上記のような行為について、具体的にどのような問題があるのか、東京フレックス法律事務所の中島博之弁護士に話を聞きました。
中島弁護士:まず、人気アーティストの新曲を非正規の方法でダウンロードした後、CD-Rに焼いてラベル印刷、歌詞カードを複製してネットオークションで販売した行為についてですが、音楽の著作物を販売目的でCD-Rという記憶媒体にコピーすることは、著作権法で定める「有形的に再製」にあたりますので、著作権のうち複製権(著作権法21条)を侵害する行為と言えます。
加えて、CDジャケット(ラベル)や歌詞カードに関しても同じく複製権の侵害になりますし、それらを販売する行為については譲渡権(著作権法26条の2)の侵害にもあたると言えそうです。著作権侵害だけでなく、もしもコピーしたCDジャケットに企業ロゴなどが入っていれば商標権侵害に、ジャケット・歌詞カードをコピーして正規品とそっくりにして販売していたのであれば不正競争防止法違反も疑われます。
また同じく、非正規の方法でダウンロードした音楽をiPodにコピーして販売する行為も、著作権のうち複製権・譲渡権を侵害していると思われます。
宮下氏の会社からは「事実確認中」
編集部では上記内容について、宮下氏が代表を務めるヘクトルに対し「書籍に書かれていることは事実か」「違法と知ったのはいつだったか」「自著で告白しようと思ったのはなぜか」「今後何か対応する予定はあるか」などの質問を送っていましたが、冒頭でも書いた通り、現在は事実確認中のため「回答は差し控えさせていただきます」(ヘクトル 広報担当者)とのこと。また、出版元の幻冬舎ルネッサンス新社にも連絡を試みましたが、現在まで担当者に連絡がついておらず、問い合わせには至っていない状態です。
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